呆気にとられて、和真を見つめていると、ゆっくりと近づいてきた。
和真が一歩進むと、あたしは一歩後退する。
それを繰り返していると、玄関の壁に背中があたった。
これ以上下がれなくなったあたしは、無言で和真を見上げた。
和真は、あたしを挟むように、両手を玄関の壁にゆっくりとくっつけた。
──ドクンッ
何、この感じ…。
「和…真?」
「美咲(ミサキ)……」
甘くあたしの名前を呟いたあと、和真の顔が近づいてきた。
これって…キスされようとしてるの?
そう思った瞬間、あたしはギュッと目を固く閉じた。
「………ぷっ」
あれ?
和真、今笑った…?
ゆっくりと瞳を開くと、お腹を抱えて笑っている和真がいた。