危うくそんな男の1人に売られかけたが、戒がそれを救ってくれたのだ。

 モニタールームで抗議しているとき、

「雇われの管理くらいはしたらどうなんだ」とぶっきらぼうに真仁に意見した。

 それまで翼は、戒が怖くて仕方がなかった。

 誰とも喋らず愛想は1つも振りまかない、挨拶しても目で応えるだけの相手に不安を覚えてもおかしくはない。

 そこまで考えて、翼は薄く笑みを浮かべた。