「!」

 乾いた音が小さく響き渡り、ちらりと覗いた。

「空(そら)……。ばかやろう」

 残った男は、か細い声で力なくつぶやき肩を落として倒れている青年を見下ろしていた。

<双竜だな。残ったのは兄の大地だ>

「! ほう」

 ヘッドセットに指をあて、続きに聞き入ったそのとき──残った男は叫びながら戒の横をかすめて走り去った。

<狂っちゃったかな?>

「悪趣味なショーをするからだ」

 戒の呆れた言葉に、向こうの真仁は絞り出すように笑った。

 それからまた、探るように歩き出す。