マンションに戻り、どこを見るでもなくリボルバーをいじる。

 レンコンの形をした薬室のシリンダーをスライドさせ、無造作に回す。

 カラカラ……という軽い音だけが部屋に響いていた。

「──っ」

 何かを思い出し、苦い表情を浮かべる。

 黒い塊を目の前のリビングテーブルに乱暴に投げ置き、両手を組んで祈るようにうつむいた。

 幾度となく心を締め付けた思考が、戒をゆるゆると支配していく。

『過去からは決して逃げられない』

 いつからだろうか、感情を押し殺したのは。