「ね、戒はなんのためにこの仕事してるの?」

 あどけない表情で戒に問いかけた。

 長い黒髪を後ろで1つに束ね、まだ幼さの残る顔立ちを斜めに向けて戒を見つめる。

「さあな」

「えー、教えてくれないの?」

「お前はどうなんだ」

「僕はねぇ……」

 持っていたコーヒーの紙コップをいじりながら目線を外した。

「故郷に両親がいるんだ」

「!」

 少し、青年の黒い大きな瞳が愁いを帯びる。