旧校舎側は、さっきまでの人通りは嘘のようだった。

少し古い建物の影に、オレ達は二人だけだった。



『好きだよ、みーちゃん。はじめて会ったときから』

「……はじめて、みーちゃんって呼んでくれたね」



カノジョの涙で濡れた大きな瞳が、真っ直ぐにオレをとらえた。



「名前を呼ぶことさえ、恥ずかしんだよ。気付いてよ」

照れ隠しに、カノジョの頭をそっと撫でる。



嬉しそうに笑顔を浮かべているカノジョを見て、なんだかとても幸せな気持ちになった。