振り向いた先の、カノジョは、少し不安げだった。

『そんなに走って…。ゆー君、汗かいちゃってるよ。……どうしたの?』



「そうだな……。いてもたってもいられなくなって」

思ったことをそのまま言う。



『……イテモタッテモ?』

どうやら、カノジョは、いてもたっても、の意味がわからないらしい。



「……あんたってさ、本当にバカだよね」

『…………わかってる』

不安げな顔は、一瞬にして悲しそうな顔に変わった。




「………でも」

カノジョの目は、ウサギのように潤んでいる。





「オレの方があんたよりずっとバカだったよ」