下駄箱を通り抜けて、校門までの道を夢中で走っていた。

周りの景色なんて、全く目に入ってこない。





『ゆー君?』






走っているときは、周りの音は何ひとつ耳に入ってこなかった。


だけど、聞き慣れた少し高めの声が、慌てた様子でオレの名前を呼んだ。



オレは立ち止まり、声のする方に、ゆっくり体を向ける。

声の主はもちろん、探していた人物だった。