ごめんなさいごめんなさいと何十回何百回と繰り返し、
それはそうすれば何もなかったことに出来るような、悪夢から目覚められるような、そういう願いを込めているようだった。
少女の止まらない涙は白い猫だった物体を濡らし、半分開いた目を濡らし、癒しの雨のように口へ吸い込まれていく。
そして口で固まった血を溶かし、
白い猫だったそれはピンクに染まっていった。
私が悪いの。私がアナタをかまうから。アナタが私の友達だから。
だから殺されてしまったの。
ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…。
『ごめんなさい』そう言えばリセット出来るかのように、何度も何度も何度も何度も繰り返した。
少女は声を上げて泣いた。
戻った長谷川も声をかけられないほど取り乱して泣いた。
いつまでもいつまでも泣いた。
永遠と思えるほどいつまでも。
しかし『永遠』は存在しなかった。
その場で気を失うように眠りについた少女は部屋へ運ばれ着替えさせられ、ガレージは保健所により清掃された。
そして目が覚めた少女はその日から笑顔になった。
綺麗な唇の端と頬骨を上にあげ、長いまつ毛の目は常に細めて。
そして少女は声をなくした。