「悪いけど連れがいるから。」
棗はにべもない態度でナンパ男に向かって手をふった。
その毅然とした姿に雪兎は憧れの眼差しで棗を見つめた。
(さすが、なつはかっこいい…!!)
「そんなこと言ってほっとかれてんじゃん?こっちの方が楽しいって!」
…しかしナンパ男はしつこかった。
ヘラヘラと笑いながらこちらの迷惑そうな態度など堪えてもいない様子だ。
「そっちの子!お人形みたいだねぇ~。
…こんな美少女見たことねぇ……。」
雪兎にじわりと近づいて来るナンパ男の顔が舌舐めずりしているかのように明らかな欲望を湛えていた。
雪兎の背筋が嫌悪感にゾクリと泡立った。
「……うさ…っ!?」
それに気付いた時春が人垣を無理矢理に掻き分け駆けつけようとしていた、
その時――


