「なつ…わたし、水着持ってきてないよ…?」
更衣室には入ったものの、泳げない雪兎は水着すら持ってきていなかった。
棗はフフフと口に手をあてて笑うと、
「じゃ~ん!かっわいーでしょっ?こんなこともあろうかと用意してたんだ!」
「………!」
それは白地にピンクの水玉の…フリルたっぷりついたラブリーな一品だった。
はい!っとそいつを渡されて、あっという間に個室へと押し込まれた。
個室の中で渡されたラブリーなひらひらをひろげてみる。
胸元には大きなリボンにふんだんのフリル、裾にもフリル…ワンピースタイプの水着に少しほっとしつつ、水着なんて小学校の授業以来だ…と複雑な気持ちでのろのろと着替えを始めた。
「うさ遅いわよ!…って、かわいぃ~~!!」
外ではブルーのシンプルなビキニに着替えた棗が待っていた。
まぶしいくらいの素敵なスタイルにシンプルなそれは実によく似合っている。
行き交う人がチラチラと棗を見ているのがわかった。
「なつ…っ、かっこいい……!!」
雪兎が目をキラキラさせて尊敬の眼差しを向けると棗は照れたように笑って頭を撫でてくれた。