「か…母さんは何て…?」
比較的早く立ち直ったのは時春だった。
訳が分からないというように、美形な顔に焦りが浮かぶ。
「ご迷惑じゃないかしら~って言うんだけど…。
どっちかっていったら雪兎の方が間違いなく世話かけるんだから心配しないで…って私、言ったのね?」
「………。」
それって…。
「そしたらお願いしちゃおうかしら~って。
昨日全部の荷物が届いたのよぉ!」
ジャジャ~~ン!!と、母の声で客間が開き……
何ともセンスのよいモノトーンでまとめられた男の子向きの部屋が現れた。
「俺の物だ……。」
常に冷静なはずの時春が呆然と立ち尽くし、綺麗に整理された部屋の中に数々の私物を見つけ
思わずそうつぶやいていた……。
雪兎に至っては…自分だって毎日この家で寝起きしているはずなのに…気づかないうちにこんなことやってのける母を
――――あぁ、もうこの人は最強だ…と、ぼんやり思っていた。


