「え~…と、養子に出された記憶はないような…」



困惑気味に時春が答えると、



「やぁねぇ!貰うときは雪兎のお婿にもらうわよ。」



「えぇ!?」



母がさらりと言った爆弾発言に雪兎はボンっと真っ赤になった。



「…あ、あの…?」



隣では時春までもがほんのり赤くなっている。



「言い忘れちゃってたわ~!」



母は悪びれる様子もなくアハハと笑っている。



「ほら、私とパパって忙しいでしょう?」



「……?…うん。」



それに素直に頷いた。



確かに雪兎の両親は忙しい。



雪兎の母は、有名な子供ブランドのデザイナーだ。



海外セレブ達にも人気な高級ブランドを手がけているため



ショーだ何だとしょっちゅう日本と海外を行ったり来たりの日々で…、父の方も買い付けなどを担当しているため二人そろって常に多忙の日々を過ごしている。



今日みたいにのんびり食事を作り、家にいる日は珍しいくらいだった。