子うさぎのお世話

「……まさか、時春が来るとわかっていたのか……?」


雪兎は英彰に向き直ると


「そんなの、わからないよ?」


と…いつものしぐさで首をかしげた。


「おまえは……今日休みだったんじゃないのか……」


英彰は次に自分を睨み付ける時春を見て聞いた。


「……おまえがいるのに……みすみす一人で行かせると思うか……?」


雪兎を自分の腕で英彰から隠すように抱きしめながら、時春は低い声で言った。


「なかなかしぶといじゃないか……!言ったはずだぞ?おまえは彼女にとって毒にしかならないと」


英彰は苛立ちを隠せないように少しだけ声を荒げ、一息に言った。


その瞳は時春に負けず彼を睨み付けている。


「……うるせぇよ…。まったく、バカだと思うよ…自分でも。おまえの言葉を鵜呑みにして、出来もしないこと考えて………」


そこまで言うと、雪兎の頬を優しく手で包んだ。


「……そのせいで雪兎を傷つけて……」


切なげに見つめ…その表情は後悔に歪んでいた。


雪兎は自分の頬に置かれた大きな手にその上からそっと自分の手を重ねた。


時春はいつもの優しい微笑みで雪兎を見つめた。