「かんぱ~い!」



母の明るい声と同時にカチンとグラスがあわされる。



「ありがとうございます。」



「…ママ、ありがと…。」



軽く頭を下げた時春に習って、照れくさい気持ちになりながら雪兎も母にお礼を言った。



美味しい料理に思わず頬がゆるむ。



母はそんな雪兎を見て、にこにこしながらおいしそうにワインをかたむけた。



「それにしても、ハル君てば見違えるくらいにイイ男になっちゃって…!」



すっかり大人びて驚くほど男前になった時春に、母はほぅっと見惚れて感心している。



「…そうですか?」



時春は苦笑しながらも、律義に酔っ払いの相手をしている。



(わぁ~!笑ってるよ…!)



雪兎は隣に時春が座っているのが今だに信じられない気持ちだ。



時折いるのを確かめるようにチラチラ盗み見てしまう。



(かっこいい……。)



思わずぽ~…っと見惚れてしまった。



子供の時から可愛い顔をしてたけど、こんなにかっこよくなっていたのは予想外だ!



てゆーか反則だ!



これじゃあ雪兎の心臓はそのうちパンクしちゃうんじゃないだろーか…と、一人悶々と考えるのだった。