「私、女の人と話してる綾君を

見かけて…

悲しくなって…

それで…っ」



思わずギュッと手を握ってしまう…


もし、


もし、振られたら…



そう思うと胸がとても…



「え?







…あ、あれ兄貴の彼女。」









…は?



びっくりしたように、

目を見開いた綾君は平然とそう言った




「えええええ!?」


た、確かに言ってたかも…

お兄ちゃんの誕生日だから用事が…

とか…

それって、お兄ちゃんの彼女の

買い物に付き合うって

意味だったのっ!?




「じゃ、じゃあなんで


待ち合わせ時間より前に来るなって…っ」




思わず声が高ぶる私に



「お前、絶対寒い格好してくんだろ…


それに、ナンパされるかもしれねぇし…


早く来させたくなかった」



と、少しだけ…


少しだけ、ほほ笑みながら

綾君は言った。