「う~ん…。とりあえず、きみを佑斗から奪おうと思うんだ」


そう言うと、智久は私を押し倒した。


背中から、固くて冷たいコンクリートの感触が伝わってくる。


「ど、どういう意味?」

ニヤリと笑う顔が怖い。

「どう思うだろうなぁ。佑斗は。自分の婚約者が襲われたら」


「えっ?」


私は、恐怖で凍りついた。


智久の笑顔は、冷たく残酷な印象を与えるせいか、余計にゾッとする。


今日、晴彦を騙した事や、実家から一人で帰った事を、心底後悔した。


何て、軽はずみな事をしたんだろう。


「すぐ終わるから」


そう言うと、智久はスカートに手を入れた。


「いやぁ~!」


力いっぱい抵抗しても、智久の力には勝てない。

「助けて~!佑斗~!」

泣きながら、必死に佑斗を呼んでいた。