潮の香りがする。


船の汽笛に、穏やかな波の音…。


ここは、海の近く?


それにしては、私は固くて冷たい場所にいる気がする。


あれ?


何でだっけ?


ここは、佑斗の家じゃない…。


ぼーっとする頭で、ゆっくりと目を開けると、智久の顔が見えた。


「なっ何で!?」


驚いて起き上がったが、クラクラして顔をしかめてしまう。


「やっと目が覚めたね」

周りには、2,30人の男が立っている。


間違いなく、智久の組、羽山組の一派たちだ。


ゆっくり辺りを見回すと、ここが荷物置場のコンテナの中だと分かった。


「私を、どうするつもり?」


私は、ありったけの怒りを込めて、智久を睨みつけた。