佑斗は、最初から私を守る為に、婚約をしてくれたんだ…。


今までの事は全部、佑斗の優しさだったなんて。

私は、そう思うと、涙が溢れ止まらなかった。


「晴彦くんも、他の人たちも、みんな知っているんだ」


「そうだったんだね。ありがとう、お父さん。教えてくれて」


こんな所で泣いていても仕方ない。


急いで帰らなきゃ。


今頃、私がいないのが分かって、騒ぎになっているはずだ。


「私、帰るね!」


涙を拭って立ち上がると、部屋を出ようとした。

「待ちなさい!送っていこう」


お父さんの申し出にも、


「大丈夫。きっと、みんな探してるはずだから」

そう言って、断った。


この時、私は本当に軽はずみな行動をしたんだと、死ぬほど後悔する事になるなんて、想像もしていなかった。