「あっ!」


振り向いて、智久を見た時、今朝の佑斗の言葉を思い出した。


「何で?あなたが?」


相変わらずの冷たい笑顔で、私を見ている。


「ああ、ちょっと遅刻しちゃって」


頭を掻きながら言うその言葉も、どこか嘘臭い。

「そういえば、僕の事はお父さんに聞いた?」


そう言われて、私は首を横に振った。


「そっか~。あっ、そうそう。佑斗は元気?」


「佑斗…?」


佑斗の事も知ってるの?

佑斗は、智久の事を知ってるみたいだったけど…。


学校では、佑斗とは他人の振りをしないといけない。


私は、敢えてはぐらかした。


「佑斗って、誰?」