このまま、逃げられないだろうか。


往生際悪く、そんな事を思いながら、部屋へと向かった。


そして、部屋のドアの前まで来て、ノックが出来ず佇んでいる。


どうしよう…。


無意味にキョロキョロ辺りを見回していると、庭先に組員の姿が見えた。

“怒ってた?“


目が合い、口パクで聞くと、頷いた。


“かなり“


同情的な目で見られ、ガックリと肩を落とす。


もうこうなったら、仕方ない。


謝ろう。


勇気を振り絞って、ドアをノックした。