こんな時なんだけど、先生でも「先生」って呼ぶんだなって思った。


 そしてそのお医者さんのお話しは、とっても難しかった。


 分かったのは、あと2時間遅かったら危なかったってことと、たっくんは助かったってこと。


 お話しを聞けば聞くほど、飛鳥先生もおねえちゃんも、さっちゃんのお母さんも泣いた。


 後でおねえちゃんに聞いたら、


「鎖骨っていう骨と、肋骨っていう骨が折れてて……
後、頭も骨に異常はないけど、重い打撲がいくつかあるって」


 これくらいしか理解できなかったけど、ほかにもいっぱいケガしてた。



「ところで、この子が小林先生のお子さんだというのは……本当ですか?」


 やっぱり、信じてもらえないんだ。


 そんなに意外な人だったのかな。たっくんのお父さんって。


 たしかに、人を助けるお医者さんが人を死なせかけたなんて……おかしいよね。


 だけどね、ホントなんだよ。会って話して、そう思ったの。


「今、警察署で事情聴取を受けているはずです。直にはっきりするかと」


 だいじょうぶかな。おまわりさん、ちゃんときづいてくれるかな。




「あ、こっちゃん!」


 ふいにさっちゃんが呼んだ。
 そっちを見たら、たっくんがお部屋から出てくるところだった。