「へえ〜、声だけでキライな奴のこと、分かるんだ〜」
「ちがう!ちっちゃくて、とぎれてて、まるで泣いたあとみたいな……?いや?どっちかというと……」
そのとき、教室に2人の男の子が入ってきた。2人は走って来たみたいで、ハアハア息をはずませてた。
「せんせー!あの、今、ね」
「あっ……ちに、タンポ、ポ……!」
そう、まるで、走ったあとみたいな……。
「ーーさっちゃん、運動会前のたっくんのこと、覚えてる?」
「え、いきなり何?ーーうーん、なんか、疲れやすくなってた?」
……そうなんだ。なんで、気づかなかったんだろう。
たっくんがへんなのは、幼稚園に来なくなってからじゃない。
もっと、それよりも前からだ。
たっくんだけじゃない。
「さっちゃん。やっぱり、おじいちゃんに電話してみよう」
止められたって、あたし、やめないよ。
「あたしね、なんか……すごく、ヤな気がするの」
やめたら、ダメな気がするんだ。すごく。
さっちゃんはため息をついて、そして。

