「このみ、帰るよ。もう勝手にいなくならないでね。迷惑なんかじゃないんだから」


「うん……。たっくん、みさきちゃん、バイバイ」


「バイバイ。由紀ちゃんも、また来てね~」


「じゃあね」


 そのあと、たっくんは元のたっくんだった。


 あたしは、ちゃんと笑えてたかな?


「どうしたの?」


 おねえちゃんの笑顔をみて、なんでだか泣きたくなった。


「どうしたの!?……よしよし」


 ―――あたしは小さいころ、親を亡くした。


 そのあと「しんせき」のおうちで、いじめられた。


 そしたら、おねえちゃんが助けてくれた。


 ……たっくんは?


 あたしに、似てない?


 じゃあ、だれかがたっくんを助ける?


 それならいいけど。





 それは9月の半ばのこと。


 その日、あたしはみさきちゃんという、ステキな人に出会いました。


 でも、それ以外に。いろんなことを知った日でもありました……。