周りの声も気にならないくらい、その時のボクはさっちゃんの答えに集中した。
誰かの意見をまともに聞こうと思ったのは、初めてだと思う。
「だって……たとえ1人でも……入園する本人がいれば、問題は無いと思うし……」
3歳児の意見には、到底聞こえない。そう感じたけど、ふと思い出す。
さっちゃんは大人っぽい性格だったって。
確か以前、「大きいお兄ちゃんがいるから、それでだよ」って言ってた。ボクにも大きいお姉ちゃんいるんだけどなぁ……。
とにかく、その時さっちゃんは言い切った。
「お父さんやお母さんがいなくてもへんじゃない!でも、そんなこと言う人や、誰ともおはなししないたっくんは……思いっきりへん!!」
確かに、その時のボクはただ単に意地を張っていただけだったのかもしれない。
そしてもしかしたら、さっちゃんはそのことに気付いていたのかもしれない。
だから、怒ったのかもしれない。
「もういい。決めた。あたしずっとたっくんの傍にいる。たっくん見張りながら、へんなこと言う人はこらしめる!」
「い、いいよ。向こうがへんって分かったから、自分でやり返す」
「ぼーりょくはダメなの!口を使うの!」
「わ、分かったから。……見張んなくても、やる」
そんなこんなで、やっと2人のやり取りは終わった。
だけど、ボクはなかなか信じてもらえなかった。当たり前か。口より先に手足が動いてたもんな。
でも、言葉にしても……伝わんないから。
さっちゃんはずっと傍にいた。そして、ボクの代わりに言い返してた。

