―多彩町・南区― 多彩荘。 比較的名の知れた能力者が住んでいる。 1人の少年は敷地内の大きな樹によじ登って一息ついた。 金髪の少年はヘッドホンで耳を被った。 音楽を聴いているのでは無いらしい。 ヘッドホンのコードの先には何も付いていない。 少年、磁波エレキ。 ココにやって来て三週間目。 エレキは景色を眺める。 そして、 突然、強い風が吹いた。 エレキは飛ばされた。 数メートル地面に着地をする。 エレキは左手の黒いゴム製薄い手袋に手をかけた。 何かがいる。 みたことがない者が。