段ボールの山がまず初めに見えた。 これを整理整頓するのに何週間かかるか…。 気が遠くなるほどだった。 (そうだ。着替えよう。服の段ボールは…?) エレキは段ボールの蓋を幾つか開けて、 服の入ったものを見つける。 普段着。 黒い半袖のシャツに同じ色の長袖のジャンパー。 (手袋のスペアは…。) 今、 はめている手袋は 一日に一回取り替えなければいけない。 探す。 その時だった。 “ピンポーン” 部屋のベルが鳴る。 段ボールの山を越えて玄関に向かう。 扉を開ける。 闇原黒也が、立っていた。