超能力者だけの世界で。




ある少年とある青年は、
ある場所にやって来た。



『多彩荘』。




「ここだ。
お前の部屋は、二階の4つの部屋のうちの一番右の部屋だ。
左隣の部屋は俺の部屋だ。」


「あの…。俺、磁波エレキです。」



少年、磁波エレキは、
闇原黒也に名前すら教えていなかった。
近所なら尚更言っておくべきだと思った。



闇原黒也は軽く頷いた。



この町には新しい住民が入る時に戦闘を行い、
どの区に入れるかを決める。


磁波エレキを入れるために戦闘させられたのは、黒也自身。




「磁波カンジの弟なんだって?あの人が兄貴って…。」


「例えるなら『地獄』ですよ。」




少年は兄との思い出を捨てたかった。


磁波カンジには、優しさという文字はない。

故に、兄という自覚も無い。



磁波カンジの常に求めているのは、『面白さ』『新しさ』。

他に何もない。




「エレキ。荷物はもう中に入れておいた。
部屋の鍵。
何かあったら、俺の部屋にこい。」




黒也は自分の部屋に入っていった。



エレキは貰った鍵で部屋を開けて中に入る。