超能力者だけの世界で。



「要するに、多彩町に何か危険な事が起こったら働けって事なんだよ。」



氷河は言う。

闇原黒也は常にスーツを着ている。


毎日1日中この町の為に動いているということだろう。



「じゃあ、戦闘づくしって事ですか?」

「そうだな。」

「それが全て免除される理由なんですか?」

「多分な。」



2人は短い返事を返す。

磁波エレキは、完璧な戦闘向きの能力を持っている。

けれど、心底嫌だった。


闇原黒也は更に言う。



「上司命令は絶対。辻斬りの件も町の為にやる事だ。」

「分かりますけど…。」

「明日の夜、辻斬りの件は開始するらしい。じゃあな。」



黒也は木から飛び降りて去って行った。

氷河はエレキの隣に座っている。


「まぁ、頑張ろうぜ?助けたいんだろう?」



優しい表情で少年を見る氷河。

エレキは頷いた。

助けたいという気持ちは変わらない。


喧嘩は出来るが、戦闘はやった事が無い。

不安感が募る。



「大丈夫だ。馬鹿は運さえあれば、きっと、うまくいくっていうから。」

「何それ!?酷くないですか…?」