俺は…2人を支えなくちゃ…。


『2人は危なっかしいからな。氷ちゃんは優しく見守っててあげてくれよ。いざというときに支えになって欲しい。』


赤次さんが俺に言った。
教師になってみれば?とも言ってくれたのも彼だ。
多彩荘を紹介してくれたのも、そうだ。

そう考えると赤次さんには恩がある。


2人は…水流と闇原は、いつも手の届かないところにいるけど。

できることは…あるはずだ。
2人を見守るのが俺の役目なら。
考えていても、始まらない。


さぁ、ここから出ようか。
これを見せてきた奴の正体は分かった。


「エレキ、戻ろう。」

「青崎さん…?」

「こんな所にいたら、気分が悪くなるからな。」


問題は山積みだ。
まったく困った奴らだよ。
…昔から変わらないのだから。





「うっ…ん?」


磁波エレキは目を覚ます。
保健室のベッドに寝かされていたようだ。
隣には青崎氷河。
まだ、眠ったまま。


「エレキ!!大丈夫か!?」


先輩の黒井颯心だ。
突っ込んでくるような勢いで近づいてきた。
心配をしていたようだ。


「大丈夫ですよ。」


そう言って、エレキはベッドから降りて立ち上がる。
行かなくてはならない場所がある。


「屋上…。」

「おっ…おい!!どこに行く?大丈夫なのか?」


颯心の声を遮って、エレキは走って部屋を出る。
階段を駆け上がって屋上と書かれた札のある扉を開く。


「…待ってたよ。」


程好い風が吹いている。
屋上には1人、青年が立っていた。
あの紫色の髪は…。


「どうして…」


エレキは多少の恐怖を抱えながら前に進む。
思い足を青年の所へ近づかせる。


「合世…色弥…」


そして、合世色弥は穏やかな笑顔で空を見た。



待っていたよ…心の底から。