ビクッ……
おそるおそる声の聞こえてきた方に視線を向けると、リビングの入り口で、腕組みをしながら立っている男の人が映った。
「か、勝手に人の会話を聞くのは止めて下さい…!」
焦りながら言う私を見て、男の人は少し不満げな表情をしながら、こちらに近付いて来た。
「自然に耳に入ってきたんだから仕方ねぇだろ?全く…俺のどこをどう見たら、凶悪に感じるんだよ…。」
「あなたから事情を聞くまでは…そう思ってしまうぐらい、恐怖感も危機感も凄かったんです!」
あの時は何されるのかと思って、ビクビクしたんだから…。
プウッと頬を膨らませると、男の人は私の目線に合わせるように背を屈めた。
「そういえば、お前…泣いてたもんな。でも、目…腫れなくて良かったじゃん…。」
フッと微笑んだ男の人は、私の頬をゆっくりと撫でた。
「いっ、いきなり触らないで下さい…!」
反射的に体が仰け反る。
せっかく少し寝て、顔の火照りも治まったというのに、また熱くなってきてしまった。


