玄関の方から聞こえてきた声に心臓がドクンッと跳ね上がった。
うそっ…
悠哉さん、帰って来ちゃった…!!
意外と早い…。
普段の帰宅時間とあまり変わらないよ…。
もうすぐ20時になろうとしている、部屋の掛け時計に視線を向けた。
ど、どうしよう!
練習不完全だけど、仕方ないか…。
ぶっつけ本番でいくしかないよね…。
私はリビングのドアを開けると、玄関にいる悠哉さんのところに駆け寄った。
「お、お帰りなさい…悠哉さん。」
「ただいま、陽菜。」
私を見た途端、悠哉さんは笑顔になる。
その表情に胸がキュンとなってしまった。
「意外と…早かったですね。もっと遅いのかな…って思ってたのでビックリしました…。」
「会議が終わって、すぐに帰って来たんだ…。少しでも早く陽菜の顔が見たくてさ。」
フワフワと私の頭を撫でる大きな手。
そして、穏やかな眼差し。
鼓動が一気にスピードを増していくのを感じた。


