「陽菜ちゃんの顔、赤くなってる…。夕日よりも真っ赤だよ…。」
翔琉くんは、クスッと笑う。
「ひゃああ!は、恥ずかしいから、あまり見ないで?」
アタフタしながら顔を俯けようとした瞬間、翔琉くんは私を包むように、そっと抱きしめた。
「かか、翔琉くん!?あのっ……」
突然のことで驚いた私は、目を見開いてしまった。
「陽菜ちゃんの心を射止めるぐらいだから、如月さんって…すごく魅力的な男なんだね…。羨ましいなぁ…。」
少し拗ねたような、翔琉くんの声が聞こえてきたかと思うと…
私の耳元に、温かい吐息がかかるのを感じた。
「あの人と、素敵な恋をしてね…。」
とても優しい声に、私はゆっくりと頷く。
翔琉くんは、私から離れると…ニッコリと爽やかな笑顔を見せてくれた。
「じゃあ、俺…先に行くね。」
私に軽く手を振った翔琉くんは、屋上の入り口の扉へと歩いていく。
その後ろ姿には、なんだか清々しさが漂ってるような感じがした。


