「10年前、勇気を出して陽菜ちゃんに告白していたら…、違った未来だったかもしれないなぁ…。」
「翔琉くん……。」
「まあ、今さら後悔しても遅いよね…。」
ため息まじりの声で話す翔琉くんは、クシャッと自分の頭を掻いた。
こんなに切なそうな翔琉くんを見るのは初めて。
しかも、その表情をさせている原因は私…なんだよね。
そう思うと、心に何かが突き刺さったような、鋭い痛みを感じた。
何を言えばいいのか分からなくて、唇をギュッと閉じていると…
「陽菜ちゃん…」
翔琉くんは穏やかな声で私の名前を呼んだ。
「今日は…告白の返事、聞かせてくれてありがとう…。」
フワッと微笑むと、私の手を包むように握った。
「如月さん、カッコいいし…優しそうな人だよね…。陽菜ちゃんのことも、すごく大切に想ってるんだなぁ…って、初めて会った時に感じたし。」
「えっ…!?」
「陽菜ちゃんに向ける眼差しとか、注ぐ笑顔とか…全然違ってたもん…。“好き”っていう気持ちが溢れてたよ、あの人…。」
そ、そうなの!?
思わぬ言葉に、顔が熱くなってしまった。


