はぁ…。
こんなことなら、しっかり鍵をかけておけば良かった…。
後悔していると、後ろからフワッと甘い香りが漂ってきた。
「本当は…何かあったんじゃねぇの?」
低いままの声。
私は左右に首を振った。
「何もありません…。」
「それなら、ちゃんと俺の方を見て言えよ…。」
「えっ!?」
「陽菜が俺の目を見て言ったら、すぐに部屋から出て行くから。」
何よ…。
そんなことしなくても出て行って欲しいんですけど。
不満に感じたものの、いつまでも悠哉さんに居られるのは困る…。
そう思った私は、ゆっくりと悠哉さんの方に体を向けた。


