ふたりだけの特別な絆


大きく呼吸をしながら、心を落ち着けていると、男の人は口を開いた。


「親父のことだから、正直に事情を話すと俺が断るんじゃないか…って思ったんだよ、きっと。初対面の女と一つ屋根の下で生活するわけだからな。」


「な、なるほど…。」


それで私のことを伝えてなかったのか…。


「確かに、最初に聞いていたら断ってただろうけど…今となっては仕方ねぇよな。もう引き受けたわけだし。」


男の人はスッと立ち上がって、私の座っているソファーの傍にやって来た。


「べ、別に取り消してもらって構わないです。私は一人で生活出来ますから…。」


プイッと顔を俯けると、男の人は私の隣に腰をおろした。


「取り消さねぇよ?」


降ってきた言葉にビクッと体を反応させた瞬間…


男の人の手が私の顎に添えられたかと思うと、グイッと上に向けさせられてしまった。