素直な気持ちを大切に…かぁ。
学校が終わって、家に帰って来た後も…なんとなく明衣の言葉が頭から離れない私。
リビングのソファーの上で体育座りをしながら、ボンヤリと考えてしまっていた。
明衣、いつになく真剣な表情だったよね…。
どんな想いで私に言ってくれたんだろう…。
うーん…と小さく唸ると、突然…甘い香りがフワッと漂ってきた。
「陽菜?どうした…?」
「ひゃあっ、悠哉さん!?」
私の顔を横から覗きこんできた悠哉さんにビックリして、思わずソファーの上に立ち上がってしまった。
「ただいま。」
悠哉さんは、ニコニコと笑いながら私を見上げた。
「お、お帰りなさい…。っていうか、いつの間に帰って来たんですか?」
「今、帰って来たばかりだよ。リビングに入った時に声掛けたけど、反応がなかったからさ…。どうしたのかな…と思って。」
う、うそ…。
リビングに入って来たのも、悠哉さんが声掛けてくれたのも、全然気付かなかった…。
それだけ黙々と考えてた…ってことか…。


