たまたま用事があって、こっちに来たんだとばかり思ってたけど、そうじゃなかったんだ…。
そっかぁ…。
この街に戻ってきたんだ…。
翔琉くんの姿がすっかり見えなくなってしまった道を眺めていると…
「ひゃっ!」
悠哉さんの手で急に目の前をを覆われてしまった。
「やっ…!悠哉さん、この手を退けて下さいっ!」
私は驚いてフルフルと首を振る。
すると、悠哉さんから小さなため息が漏れるのと同時に覆っていた手がパッと離れた。
「いつまでも、アイツが歩いて行った方ばかり見てるんじゃねぇよ…。」
少し低い声。
悠哉さんに視線を向けると、なんだか不満そうな表情を浮かべていた。
ただ…ボンヤリと見ていただけなのに…。
な、なんでそんなに不機嫌そうな表情なのよ…。
疑問に思っていると、私の腰に悠哉さんの手が回されて、密着しそうなほど引き寄せられられた。
「今、陽菜の傍に居るのは俺なんだから、俺だけを見てよ。」


