これ、悠哉さんが着ていたジャケット…。
ど、どうして…?
スッポリと両肩を覆うように掛けられたジャケットを見ていると、頭の上に悠哉さんの大きな手がのせられた。
「陽菜、寒くなってきたから、そろそろ家の中に入るぞ?風邪…ひかせたくないし。」
あ…
それで…わざわざジャケットを私に羽織らせてくれたんだ…。
確かに、日が落ちて空気が冷たくなってきてた。
ちょっと肌寒い…って思ってたんだよね…。
「あ、ありがとうございます…。」
ジャケットが落ちないように、手でキュッと握った。
「そ、それじゃあ…俺も帰るよ。今日は突然来ちゃってごめんね…。」
「あっ…翔琉くん!」
背を向けて帰ろうとする翔琉くんを、思わず呼び止めてしまった。
「ひ、久しぶりに会えて…嬉しかったよ。またいつか、ゆっくり話せるといいね…。」
10年ぶりに会ったし、もう少し話したい気持ちもあるけど…
翔琉くんにも都合があるだろうし、いつまでもここで立ち話ってわけにもいかないもんね…。
小さく手を振ると、翔琉くんは何かを思い出したような表情を浮かべた。


