俯いて、うーん…と唸りながら考え込んでいると…
「どうしたの?陽菜ちゃん。」
「陽菜、何考えてんの?」
二人に両側から顔を覗き込まれた私。
驚いた反動で体が仰け反り、三歩ほど後退りをしてしまった。
「な、なんでもないです!!」
二人に交互に視線を向けながら、言葉を発した。
いけない、いけない…。
今は考え込むよりも、翔琉くんに事情説明するのが先だ…。
「あのね、翔琉くん!悠哉さんは…お父さんたちが留守の間、私の家に来てくれてる人なの!」
「えっ?おじさんとおばさん、今いないの?」
「うん…。お父さんの長期出張に、お母さんも一緒について行ってるんだ…。それでね、私一人になるのを心配したお父さんが、悠哉さんに同居をお願いしたみたいで…。」
「そっか…。そういう事情だったんだね…。結婚とかじゃなくて安心した…。」
翔琉くんは安堵の笑顔を浮かべた。
「それなら、俺にも…まだチャンスありそうだし…。」
「へ…?」
チャンス…??
翔琉くんの言葉にキョトンとしていると、不意に後ろから暖かいものに包まれた。


