ふたりだけの特別な絆


「初めまして、如月 悠哉と言います。実は…陽菜と一緒に、この家で暮らし始めたんですよ。」


「えっ、一緒に…ってことは、陽菜ちゃん…もしかして結婚したの!?」


辺りに翔琉くんの大きな声が響く。


目を大きく見開いて驚いている翔琉くんに、私は首を何度も左右に振った。



「け、結婚なんてしてないよ!そういう事実は全くないから!!」


もう…
悠哉さんが紛らわしい言い方するから、翔琉くんが誤解しちゃったじゃん。


普通に事情を話せばいいのに…。


私はジロリと悠哉さんを睨んだけれど、当の本人は気にすることなく、フッと笑みを零した。


「結婚か…。もしかしたら、将来的には…そうなるかもしれないよな。」


「なっ…何言ってるんですかっ!それより、は…離して下さい!」


胸元に回されたままの手を振りほどこうと左右に身を捩る。


なんとかして離れようと奮闘する私を見て、悠哉さんも苦笑いしながら、ゆっくりと手を離した。


お、おかしいな…。


別に、今まで結婚っていう言葉に対して、一度も意識したことなんてないし…


そもそも、悠哉さんと付き合ってるわけでもない。


それなのに…


なんで今の悠哉さんの言葉に、ドキッとしちゃったんだろう…?