「えっ、泊まり?」
瞬きを繰り返す悠哉さん。
な、なんか私…
変なこと聞いちゃったのかな…?
「えっと…隣町の会館って遠いし、会議は一日中なんですよね?そんなハードな会議の後に、ここまで帰って来るのは大変そうだから、水澤さんと何処かに泊まったりするのかな…って、思って…。」
焦って言葉をつけ加えると、悠哉さんは私の頭にゆっくりと手をのせた。
「いや、日帰りの出張だよ。いつもより帰りが遅くなると思うけど、なるべく早く陽菜のところに帰って来るから。お前を一人になんかしねぇよ。」
「わ、分かりました…。了解です。」
微笑みながら話す悠哉さんに、なんとも不自然な返事をしてしまった。
心臓、バクバクしてる…。すごい勢い…。
まるで暴れているかのように激しい動き。
私は、アタフタしながら胸元を擦った。
でも、良かった…。
日帰りなんだ…。
込み上げてくる不思議な安心感に、自分の表情が少し緩んでいくのが分かった。
「なあ、陽菜…。」
「は、はい…。なんですか?」
悠哉さんから声を掛けられ、ビクッと体が震えた。
なんだろう…?
変なこと聞くなよ…とでも言われるのかな…。
チラチラと悠哉さんの表情を伺った。
「もしかして、妬いてくれてるの?」
「へ?」
「なんだか、そう感じたから…。陽菜、水澤さんのこと…気にしてるみたいだし。」
……えっ。
わ、私が…妬いてる?
水澤さんに…??