「きゃっ!」
突然、触れられた衝撃で、私は驚きの声をあげる。
危うくカップを落としそうになってしまったけれど、手に力を入れて、なんとか堪えた。
「ゆ、悠哉さんっ!いきなり何してるんですか!!」
「だって、陽菜が周りの男に視線なんか向けたら、相手が喜ぶだけだからさ。俺はそれを阻止しただけ。」
いやいや、別に喜ぶことなんかないって…。
考えることが大げさだよなぁ…。
苦笑いを浮かべると、悠哉さんは私の頬から手を離した。
「さてと、これを飲み終わったら…そろそろ家に帰ろっか!長居してたら妬くことも増えそうだし…。」
「は、はい…。」
長居すると妬く…?
ど、どうして??
私は訳が分からないながらも、コクンと小さく頷いた。
まあ…いっか。
私も、そろそろ帰りたいなぁ…と思ってたんだよね…。
これ以上、たくさんの人で賑わっている、このショッピングモールに悠哉さんと一緒に居ると…
度重なる刺激で、心臓が破裂しそうな気がするもん…。
私は、甘い匂いを漂わせているココアを見つめた。


