「どうした?陽菜の顔…ちょっと赤くなってる…。」
「そっ、そうですか!?えっと、それは…店内の暖房が結構効いてるからだと思います。」
悠哉さんに顔をじっくりと見つめられる中、私は身振り手振りで慌てて説明をした。
もちろん、今のは思いついた適当な理由。
だって…言えないよ。
悠哉さんがココアを飲んだことで、間接キスを意識しちゃったなんて…
恥ずかしくて言えないもん…。
どんどん熱くなってくる顔を、両手でパタパタと仰いだ。
「ん〜確かに、少し暑いぐらいかもな。大丈夫か?もしかして体調、悪くなった?」
「あっ、いいえ!体は元気なので大丈夫ですっ!!」
ブンブンと首を振ると、悠哉さんは微笑みながら、私の前にココアの入っているカップを差し出した。
「そっか!それなら良かった…。ココア、少し飲ませてくれてありがとな。」
そう言った悠哉さんは、カップの取っ手を私の手にゆっくりと握らせた。
私の手元に戻ってきたココア。
思わず、悠哉さんが口をつけた場所を凝視してしまった。


