「俺にとって、陽菜は…大事にしたい存在だから。その気持ちも込めて言った…。」
「………っ…」
私は、何も言葉が出てこなかった。
心がドッキンと跳ね上がって、体を駆け巡っていく衝撃が激しくて…
声を出したくても、上手く出せなかったんだ…。
大事にしたい存在…って、私が!?
料理も殆ど出来ないし、その他…諸々の家事もそんなに得意じゃない。
その上、悠哉さんに対して、過剰反応してばかりなのに…。
“大事”だなんて…
なんだか…
嬉しくて恥ずかしくて…
不思議な気持ち…。
あちこちに視線を泳がせていると、悠哉さんは私のおでこを指で軽く突いた。
「ったく、俺の気持ちを動かすなんて、すげぇよ…陽菜。」
「えっ…」
悠哉さんの優しい笑顔に、体がカチコチに固まる。
ボーッとしていると、不意に私の手からココアの入ったカップが抜きとられた。


