《完》オフィスに鍵をかけて 〜キケンな部下と秘密の恋〜

「―――悪い」




重苦しい空気の中、課長は
低くそう謝った。




動揺の現れか、テーブルの
上で左手の人差し指を
トントンとやり出す。




手持ちぶさたになったり
冷静さが欠けてくると
こうして指を動かすのは、
昔からの癖だ。




だけど――ヤだな、なんて皮肉。




音に反応してついそっちを
見ちゃったあたしの目に
飛び込んできたのは、
左手の薬指で鈍い光を
放つリング。



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