「瑞樹クン、あの……」




おずおずと声をかけると
――意外にもあたしの声を
遮るように、今度は彼の
方から言葉をかぶせてきた。




「遅いですよ、莉央さん。
どこ行ってたんですか。

――ハイこれ、さっきの
交渉でもぎ取った、予算
削減バージョンの見積もり」




「あ、ありがと……」




ピッと目の前に差し
出された紙を反射的に
受け取って、力のない声で
お礼を言うあたし。



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