多々良はほっとしてその場を辞そうと頭を下げた。
が、王は苛立ちをにじませて、こう付け加えた。
「違う、お前ではない。
…お前たちに言ったのだ。」
王の目は、家臣たちに注がれていた。
嘘でしょうと言いたかった。
どうやら王は多々良と二人きりになるつもりのようだ。
王妃までもを下がらせ、多々良を目の前に呼ぶ。
仕方なく従った。
「……名は?」
「多々良。」
さっきも言っただろうと、うんざりする。
「本当に、王妃の子か?」
「さぁ?
僕は小さい頃に捨てられ、おまけに軽い記憶喪失になっているようで。
記憶は10歳から始まっています。」
「お前が嘘をついていないという理由は?」
「ありません。」
いっそ清々しいほどに言い切った多々良に不快そうな様子を見せるわけでもなく、王は質問を続ける。
「財産目当てか?」
「いいえ。
僕に豪華な暮らしは似合いませんし。」
「ではなぜ、城に乗り込んできた?」
ここにきて、多々良は返答に詰まった。
が、王は苛立ちをにじませて、こう付け加えた。
「違う、お前ではない。
…お前たちに言ったのだ。」
王の目は、家臣たちに注がれていた。
嘘でしょうと言いたかった。
どうやら王は多々良と二人きりになるつもりのようだ。
王妃までもを下がらせ、多々良を目の前に呼ぶ。
仕方なく従った。
「……名は?」
「多々良。」
さっきも言っただろうと、うんざりする。
「本当に、王妃の子か?」
「さぁ?
僕は小さい頃に捨てられ、おまけに軽い記憶喪失になっているようで。
記憶は10歳から始まっています。」
「お前が嘘をついていないという理由は?」
「ありません。」
いっそ清々しいほどに言い切った多々良に不快そうな様子を見せるわけでもなく、王は質問を続ける。
「財産目当てか?」
「いいえ。
僕に豪華な暮らしは似合いませんし。」
「ではなぜ、城に乗り込んできた?」
ここにきて、多々良は返答に詰まった。


