蜃気楼

僕は許してもらえたんだろうか。



仲間だと、思ってもらえたんだろうか。



呉壽、僕のこと、まだ嫌い?



許せない?



都楼、キミは?



…架妥、キミは、僕をどう思うの?



木製の豪奢な門を叩く。



手が震えた。



この門をくぐった瞬間、僕はもう彼らとは完璧に別れることになる。



後ろを振り向きそうになりながらも、多々良は必死でこらえた。



門番に名を名乗ると、少し待てと言い置かれる。



きっと、城の中は大わらわだろうな。



僕が多々良だって言って、信じてもらえるのかな。



あ、ペンダントがあるじゃないか。



そしてその予想通り、門番にペンダントを見せると中に通された。



背後で、重い門扉がゆっくりと閉まっていった。