知ってるよ。



そんなこと、とっくに知ってるよ。



「男に囲まれて生きてきたから、自分の身体をわかっていなさすぎるんだよ。」



この間みたいに。



男と戦場に出ていってしまうしね。



「大の男を担いで山をのぼってきたこともある。」



架妥ならやりかねない。



「あいつは、無茶をしすぎるんだ…。」



呉壽は静かに泣いていた。



多々良はかける言葉が見つからなかった。



呉壽も期待していないだろうから、黙っていた。



「都楼の心境を思うと、俺はもう見てられねぇ…。」



それを聞いて、多々良は胸が痛んだ。



都楼の力いっぱいの叫び。



初めて見せた、弱い一面。



「頼む、多々良。
架妥を助けてくれ…。」


「うん。」



僕だって、助けたい。



好きだから。



君達の絆にはかなわないけど、僕だって彼女が好きなんだ。